■光化学殺菌法(ペリオウェイブ)

成人の3人に1人が歯周病に苦しんでいると言われています。
ペリオウェイブは新しいテクノロジーで、歯周病に対して抜群の効果を発揮します。
これは抗生物質をつかわずに光によって行う殺菌システムでスケーリングやルートプレーニングでは取り除くことのできなかったバクテリアや細菌を取り除くことができます。

ペリオウェイブとは?

歯周ポケット内にバイオジェルと呼ばれる染色液で歯周病菌等を染め、670ナノメートルの波長レーザーを照射します。光を吸収すると化学反応が起こり、活性酸素を大量に発生させ、歯周病菌・虫歯菌・ヘルペスウィルス等を死滅させ、健康な歯周組織を回復させる最新の歯周病殺菌システムです。医科ではがん治療(PDT治療)として、積極的に取り入れられています。

メリットは?

抗生物質を長期間使用すると耐性菌が生産され、歯周病菌に効かなくなりますが抗生物質を全く使わないので、何回でも治療が可能です。副作用、痛み、腫れが全くなく3回の治療で歯周病菌がほぼ消滅することです。 また、妊婦さんでも使用が可能です。

デメリットは?

歯ぐきが引き締まってくるため、被せ物と歯ぐきの段差が目立つことがあります。無カタラーゼ症の方、紫外線等の光に対して敏感な方は適応外となります。

適応症

歯肉炎、歯周炎、根管治療、インプラント周囲炎、ヘルペス口内炎、カンジタ症

ペリオウェイブによる治療の流れ

ステップ1:注入

まず触媒となる特殊なジェルを歯周ポケット内に注入します。 ジェルの光感受性物質が細菌やウイルスと結合し染色されます。

ステップ2:光照射

熱くない光を照射することで化学反応が起き活性酸素が発生し 発生した活性酸素が細菌やウイルスを殺します。 この画期的なシステムは眼科、呼吸器科、皮膚科などではすでに臨床応用 され、そのメカニズムは科学的に証明されています。

「ペリオウェイブ」のメカニズム

「ペリオウェイブ」の光システムは670mmの波長で励起する220mWの低出力の光エネルギーで、光活性剤「バイオジェル」を併用して多くのバクテリアを不活性化し、SRPだけの場合と違って治療後にバクテリアやトキシンを残しません。物理的に細菌を破壊するため、殺菌に抗生物質を使った治療法と違って、バクテリアの抵抗性を刺激することなく、即座にグラム陰性菌を破壊します。 その光活性剤「バイオジェル」は0.01%メテレン-ブルー色素を含む中性リン緩衛液で、この色素はグラム陰性菌およびグラム陽性菌の細胞壁を構成するリリポポリサッカライド、糖脂質の脂質に特異的に統合します。光エネルギーを照射することにより、色素が結合した歯周病原細菌は破壊されます。また、この色素は、生体の細胞には結合しないため、光エネルギーによる侵襲は最小限であることをもわかっています。まさにMinimal Intervention の概念に合致した治療といえるでしょう。

「ペリオウェイブ」適応の実際

「ペリオウェイブ」の基礎となる原理は、歯周疾患を進行させる細菌を除去することにあります。まず、光活性剤「バイオジェル」を歯周ポケット内に塗布します。この色素は、グラム陰性菌とグラム陽性菌両者の細菌壁を構成する内毒素と脂質に結合します。両者の細菌の違いは、細胞壁のペプチドグリカンの厚さであり、グラム陰性菌のほうがより迅速にメチレン-ブルーによって染色されます。 「バイオウェイブ」の非熱光は光子を生産させ、光活性剤「バイオジェル」の分子と高頻度で結合します。その光子は色素分子に衝突することにより、光線力学連鎖反応が開始され、色素を包囲する酸素分子は、電子を失うことでフリーラジカル(活性酸素)となります。この活性酸素は細菌細胞壁に対して毒性を有しており、細胞壁を分解することによりその細菌は破壊されます。 「バイオウェイブ」は広い抗菌スペクトルを発揮するシステムであり、歯肉縁下細菌とそれら細菌のもつビルレンスファクターを破壊します。細菌性プロテアーゼ(タンパク分解酵素)、コラゲナーゼ(コラーゲン分解酵素)および内毒素が不活性化される結果、炎症反応は消息して歯周組織の破壊は抑制されます。 つまり、「バイオウェイブ」は、二重の抗菌作用をもつことになります。歯周病原性のグラム陰性菌を殺菌するのみならず、これら細菌が有する内毒素(LPS)を不活化させるのです。また、抗菌剤を使わないので、耐性菌のリスクもありません。
通常、歯周病の治療にこの処置を併用する場合にはスケーリングやSRP等の処置を行うことが前提です。この処置だけで治るものではないことをご理解下さい。

メディアでの紹介

ページ最上部へ